🍅🦒 わ か り ま す 🦒🍅

劇場版レヴュースタァライトを見てきました。

 

以前(🦒わ か り ま す🦒 - ウサギ小屋)テレビアニメシリーズを見て以来、地味〜に感情を燻らせていた作品だったのですが、ついに地元でも観られる状態になったので喜んで観に行った次第です。ちなみに舞台のライビュもロンド・ロンド・ロンドもスルーされてました。

舞台に関しては配信で#2を見たので「す、すずちゃん……」と言えるオタクになっています。どうでもいいんですけど、

【舞台#2】ダイジェストムービー まひる編 - YouTube

ここ3年くらいずっと私の情緒に居座り続けている某ゲームの某シーンと同じ関係性をお出しされて気が狂ったので舞台こわ……と思いました。

#2のまひるちゃん、自己肯定感の無さゆえに自分が誰かの先を歩いている自覚がこれまで皆無で、ある意味では残酷な天衣無縫さが誰かの劣等感を刺激していることを知らなかった感じがめちゃ私の好きな男と同じムーブでちょっとよくわからなかったです。

というか、この時のまひるちゃんは既にかれんちゃんへの思いを通して自分を肯定することをやめられていて、少し自分に自信が持てているんですよね。だからこそ、このすずちゃんの言葉を真正面から受け止めてあげられたんだよなあと。だって自分に自信がなかったら、自分の輝きが誰かの目を眩ませていたこと自体が信じられないと思うので。

 

すいません話が逸れました。

というわけで劇場版少女歌劇レヴュースタァライトの感想に入りたいと思うのですが、まず一言言わせてください。

まひるちゃん……!

はい。あのレヴューを見て情緒がおかしくならないまひるちゃん推しいる?いないと思う(オタク特有のでけえ主語)

まひるちゃんのあのレヴューはもちろん演技なので、ということはあの呪いのような「もっと上手く演じてよ」まひるちゃんの本心ではなく、彼女の本音は最後に笑ってひかりちゃんを見送ったあのセリフであるのは間違いないじゃないですか。だけど、あの「大嫌い」「もっと上手く演じてよ」という毒のような言葉がまるで呪いの様相を帯びていたのは、まひるちゃん自身の心の中にまだ残っている失恋の痛みが表に出てきちゃった結果なんだろうなと思うんですよ。私はそれがちょっとだけ嬉しかったです。

恋の魔球で「ねえ私だけを見ててよ ほら小さな光なんて 真昼になれば消えてしまう」とまで歌っていたのだから、やっぱりどこか忸怩たる思いは抱いていたと思うんです。それを心の隅っこに押し込めて隠して見ないふりをして、いつか自然に消えてしまうのを待っていたんだろうなと。まひるちゃんは優しい子なので、自分のそんな汚くて醜い気持ちで大事な仲間を嫌いになりたくはなくて、ずっとずっと、自分の中に押し込めて押し込めていたんだろうなと。

そんなどこにも出すことのできない気持ちを、吐き出したほうが楽になれるのに吐き出さず痛くても自分の中で消化することを選んだ感情を、演技という形で昇華させられる場があったのはよかったなあと思うんです。でも、だからこそまひるちゃんは演じるのが怖かったんだろうな。だって、それが本音に限りなく近い嘘だから。

でもあのまひるちゃんの怒りって、かれんちゃんを取られたことそのものに対してというよりも「かれんちゃんが貴方を選んだのに、貴方はどうしてかれんちゃんと向き合わないの?」という怒りに見えるんですよね。だから「もっと上手く演じて」という言葉が生まれてくるのかなあと。まひるちゃんはやっぱりどこまでも自分よりも相手の幸せを祈る子だよなあと思って苦しくなりますね。まひるちゃん……。

そんなとにかく受動的で人を通してしか自分自身を肯定できなかったまひるちゃんが、演技をしたいと能動的な感情で動いて、笑ってライバルの送り出したところに私はべちょべちょに泣きました。あと、私は本当は主人公が好きなのにライバルの背中を押してしまい自分は失恋するタイプの負けヒロインに弱いので、そういう意味でも泣きました。まひる棒でオタクの情緒をボッコボコにするやん……。

 

 

あと私の情緒をしっちゃかめっちゃかにしたのが天堂真矢とクロディーヌでした。

英雄には試練、聖職者には誘惑、わたしにはあなたでおかしくならないオタクなんかいない(クソでか主語)

もう完全に隣に立つのは私、私の隣に相応しいのは貴方の強すぎる感情じゃんこんなの。貴方の存在が私をさらに高みに引き上げる、貴方がいるから私は立てる、ほかでもない貴方だからこそ私はってこんな感情見せられて動揺するなっていう方が無理でした。

元から天堂真矢は負けてない、がわりと好きではあったんですけど、ここまでの感情を持っている相手が負けてないと言う意味を今更ながらに考えさせられてしまってちょっとよくわからない気持ちです。まひるちゃんほどに解像度が高くないのでなんも的確な言葉を見つけられないのでただただよくわかんねえ……、強い……とだけ繰り返す壊れかけのレディオ。

 

そういえばこの映画って、少女たちがただ漫然となんとなく今に甘んじて進歩を止めてしまうことを自分の手で否定して、常に前に進む力強さを会得する物語だという話だと思うんですよ。前もそんなことを書いたし、今回スタァライトの脚本のくだりでもそういう内容に触れてましたけど。

で、テレビシリーズの頃から真矢&クロディーヌの二人だけは別次元というか、互いの存在があるからこそ互いに歩みを止めないでいられるという、文字通り好敵手としての関係だったわけですよ。だから、今回ばななちゃんに「死んでる」と彼女たち二人もまとめて切り捨てられたことがちょっと不思議で。

でもよく考えたら卒業という一つの節目を迎えることで互いが離れ離れになってしまうんですよねこの二人って。半身をもがれるというか、飛ぶための翼を片方無くしてしまうというか、そういう意味で先に進めなくなる危険性を孕んでいたんだなあとレヴューを見て思いました。

ただ、そんなことで揺らぐほど二人の関係性は、そして真矢とクロディーヌという舞台少女はヤワじゃないということを互いに再認識するためのレヴューだったのかなとか思ったり。何せ勝負の続きを約束してますからねこの二人……。こわ……。

 

 

で、ここまで書いてきて思うのが双葉と香子さあ〜です。真矢とクロディーヌの二人は物理的距離などもはや関係ないほど互いの存在は深いところに入り込んでいるため、そのことを再確認するためのレヴューでしたが彼女たちはそうはいかないんですよ。

双葉と香子の場合って、どちらかというと双葉が一方的に摩耗する関係性じゃないですか。もちろんそこに信頼関係があって友情があって愛情があるから成立をしているわけですが、客観的に見るとあまりにも双葉だけが削れてしまう関係なんです。でも離れられない。真矢とクロディーヌみたいに互いを自分に必要な存在と割り切れていないというか、双葉は双葉、香子は香子と一人の人間としての自我があるはずなのにその境界線が曖昧になっているというか。だから香子は双葉が自分のために頑張ってくれるのは「当然」だし、双葉は自分が香子のために頑張るのは「当然」になってる。だから片方の人間だけがひどく摩耗する関係性もおかしくないんですよ。二人の自我は混ざり合っていて一つなので。

ただ、この関係は劇場版のこの段階では香子のほうが弁えていて、ある種盲目に双葉が自分のためにと頑張ってくれていることに「甘えている」んですよね。アニメシリーズの時は本当の意味で「甘えて」いた香子が、双葉は双葉という一人の人間なのだと突きつけられて彼女が彼女の意思で行動することを理解して、だけどやっぱり双葉は自分のために頑張ってくれるというのでそれならばと身を委ねているイメージ。

一方の双葉は、ある意味ではまひるちゃんと同じで「持たざる自分」から目を背けるために香子のお世話をし続けているというか。持たざる自分が努力をすることでもっと上を目指せると知って、一人で行動したいという自我が芽生えて。だけど香子のために行動する自分を捨てられなかったのはやっぱり彼女が一人の足で立つことに怯えていた心の表れだったのかなとか勝手に思ってたんですよね。

そんな自我の曖昧な二人がようやく別の人間として互いを初めて見つめたのが今回のレヴューじゃないかなって思うんですよね。だから双葉は「香子ばっかりあたしを独り占めしてずるい」と叫んで、それに対して香子は「ガキのワガママには勝てんわあ」と返したのかなって……。

序盤の妙に苛立った香子の様子を見るに、香子サイドはとっくに双葉を手放す覚悟をしていたんじゃないかなと思うんですよ。あの苛立ちはある意味では自分の半身を引き剥がす寂しさと怖さの表れ。だけどそんな香子の覚悟や想いなんて双葉はつゆほども知らずにいるので腹が立つ。双葉は双葉で、香子が意地を張っていることに対して「ずるい」と叫ぶ。自分で立って自分の脚で歩きたいのだという思いを理解してくれない香子に腹が立つ。

だから二人は「絶交」して自我が曖昧な存在から二つに分かれて、「わがまま」を言ってそれを受け入れるという儀式を持って正式に双葉と香子という二人の人間に戻ったというか。そういう感じがあるなあと。上手くいえないんですけど。

だって、自我の境界のない存在だったら「あたしを独り占めしてずるい」なんて発言は出てこないし、そんな双葉の独り立ち宣言を「ガキのわがまま」という形で受け入れることもまたできないんですよ。二人の人間が正面から対峙して初めて生まれる言葉をぶつけ合ってるんですよ。

は〜〜〜なんだこの巨大な感情は!!!!

 

それはともかくとして最近ビルの屋上で撃たれて落ちていく男を咄嗟に抱きしめて自分もビルから落ちていく男とかいうものを見せられた後なので大変情緒に悪いな〜これ!!!!

世間では大流行りしてますが私は特に狂わず、従って自カプとかではないのにそれでも“理解”しましたからねふたかおを浴びたことで。

あと別件なんですけど去年の秋くらいからずっと狂ってる男が、主人公のこと「ガキ」と呼びがちなのでそれはそれで情緒に悪いです。誰か助けてください。昨日からひたすらずっとわがままハイウェイで頭が変になっている。

 

というわけで一回で私が処理し切れた感情はここまででした。

不変に執着したばななが、最後に残したじゅんなちゃんという唯一の執着とつけた決着とか、互いが互いの存在を運命と思うが故に呪縛になっていた愛城華恋と神楽ひかりがようやく運命と呪縛の楔から解き放たれたこととかにも触れたいんですけど今の私には無理でした。

時間の都合が合えばもう一度観に行きたいです。

 

以上です。