ようこそ地獄へ

何をとち狂ったのか月曜日に一晩でメイドインアビス全13話完走しました。

感想です。なんでこんなことをしたのか自分でもわからん。ただ、ただわかることはなんとなく地獄を味わいたかったってことだけ……。

 

 

ところで私は地獄作品愛好家みたいなところがあるので、世間様に地獄と言われている作品はわりとワクワクしながら見るところがあります。で、そんな私が思うに、オタクが言う地獄にもいくつかパターンがあって。

まずは誰も悪くない運命のいたずら、ボタンの掛け違い系。誰も悪くないので行き場のないお気持ちになるやつですね。風花雪月なんかがこういうのかなと。ただ学生時代にクラスを変わったという些細な出来事で、いつのまにかかつての親友を手にかけなきゃいけなくなってたっていうのが地獄として評判でした。私は「でも最終的に信念を持って相手に対峙できているのでこれはハピエン」だと思っています。覚悟と自覚を持って親友を殺せるのは救いがあると思う。

あとは世界の仕組みに阻まれ、完全なるハッピーエンドになれないやつです。ご都合主義を絶対に許してくれないやつ。私はこれが好き。世界のために死ねと言われて本当に死ぬノクト(彼の死で世界が平和になる)とか、世界が平和になり秩序が元に戻ったが故に二度と会えなくなるバーバラとか、絵本の住人で本から出られず、初めてできた友達を見送る道を選んだ、映画すみっコぐらしのひよこなどがこういう感じですね。すみっコぐらし、ドラクエ6のオタクが見ると死ぬって言われてたけど本当に死んだ。あと、完全にこの展開になりそうだったところを破壊と創造という作品テーマで見事に回避したビルダーズ2をよろしくお願いします。

話が逸れた。で、本記事で触れるメイドインアビスは、これらとは違って

不条理に傷つけられる残酷な世界という意味での地獄

かなと思ってたんですよね。世界に呪われてるやつ。私が好きなハピエン阻害系に似てるんですけど、もっと苛烈で激しいやつかなと。

なんか仲良い友達から「一旦降りた道を引き返して上昇しようとするとめっちゃひどいことになる穴の話」ぼんやりとした設定だけ聞いてて、そのとき「なんで潜る必要あんの?」と思ったりしたので、何かしらの不条理に強いられて危ない穴に入るのかなと思ってたんですよ。例えば罪人が突き落とされる穴で、主人公は冤罪で入れられたとかさ。そういう救いのなさからくる地獄を想像してました。

で、蓋開けてみたらこの作品の地獄成分は

9割くらい人災でしたわ

人災ですわこれ。

 

というわけでだらだら感想書きます。だらだら書くので今回の記事は完全に雑談、備忘録です。だってほぼ徹夜で見たから……。真面目に考えられてないよね……。

 

 

 

 

 

 

 

いや地獄って聞いてたんすけど、なんかわりとどいつもこいつもアビスに潜ることに対して肯定的なのでマジで〜?って感じでした。そこからギャップがすごかった。まあ確かにね、ロマンを求める冒険家の話っていう側面あるからね。とんでもなくロクでもないアビスの呪いがあるにもかかわらず、アビスに潜ることは花形で憧れで、白笛なんかになった日には誰もが羨む地位を手に入れてるわけじゃないですか。マジで〜〜!って感じだった。

いや、なんかこう、アビスで発掘される物が高値で取引される世界+ほぼ悲惨な死に方しかしない残酷ワールドの組み合わせだと、罪人、奴隷的身分の人間などが命がけで働かされてるとかであってもいいのにで穴に潜るのは憧れの花形職業なんですよ。英雄なんですよ。

すげー健全なようでいてすげー歪んだ世界!

いや、アビスに潜ることをわりとみんな肯定的に捉えてて、そこのギャップがマジでずっとすごくて。リコがライザを探すために奈落の底へ向かうことに反対する人間が少ないから。

奴隷労働人権無視、じゃ商売として成り立たないほどアビスの環境が過酷なのはありますけど、にしたって花形の英雄的憧れ職業!かっこいいね!すごいね!って枠組みになる?すげえ健全。でも、健全なように見えて、齢12歳の少女の自殺をみんなで肯定するから、綺麗なようで意外と醜悪だな、最悪だなって思ったんですよね。だって母親を探すとかまだ見ぬ宝を探すとか言ってますけど、ぶっちゃけアビスに潜るのって自殺行為じゃないですか。特に6層より下に潜る場合、基本的には生きて地上に戻れないわけで。完全に自殺。それを肯定する大人、普通に考えてヤバくないですか。見た限りどの大人も誰もリコを止めなかったのやべーでしょ。

というか奈落の底に辿り着く前に普通に原生生物にやられて死ぬ可能性もあんのによ。それなのにみんなお別れは寂しいけど頑張ってねのノリで送り出すからやべーなこの世界って思ったよね。思わなかった?

ただ、ここに関してはアビス信仰と呼ばれる輪廻転成の考えが根付いてるのもあるのかなと思った。死んだらアビスの糧となり、いつかまた巡り会えるという考え方。てか序盤で出てきた肉の考え方もそうだけど、この世界の人間やたら死ぬことに対してドライなところあるんですよね。なんかそういう印象を受けた。死が身近で普通だからかな。そう考えるとリコの周りの大人たちがやたらにドライなのも納得できるような気がしなくもない。

 

そういうわけで、なんとなく私はこの世界の人間と感覚が違うなあと思ってしまって結構置いていかれてたんですよね。だって私なら絶対アビス潜りたくないですもん。行くとしてもギリ2層までかな。それより下はどんな理由があっても行きたくないです。絶対に嫌。ほんとに嫌。

それなのにアビスアビス!と連呼してマジで入っていったリコほんとヤバいなと思ったよね。正直、私は軽い気持ちでとんでもないところに入ってしまい、上に戻らなければならなくなった時に心底後悔する地獄絵図でも来るかなと思ってたんですけどそんなことはなかった。上昇負荷の設定的に、絶望してボロボロになりながら地上へ戻る地獄の行程メインかなと思ってたのに、必要に迫られた時以外上昇一切してなくてマジでびっくりですよ。まあその必要に迫られた時がトラウマもんでしたけど。

てかあれで心折れないリコ、なに?メンタル剛性つよつよおばけ?私がああなったら苦しまないうちに早めに火葬砲して殺してもらう。というか、それでも引き返すという選択をしないの、12歳がする決意じゃない。重すぎる。こわい。

どんなことがあっても上に戻るつもりは全くなし、死ぬ気もないし、片腕の一本を失った程度で引き返すつもりなど全くないというリコの化け物メンタルに出会うことになり、まあ大変にびっくりしたよね。凄まじいな、そうまでしてアビスに潜りたいのか。アビスってなんだ、麻薬か。

 

で、そんなわりと人間離れしたメンタルつよつよ主人公見た中だと、みんな大好き外道のボンドルドに結構安心感があったんですよね。安心して外道と断言できるから。ボンドルドそういう意味でマジの安心感ある。こいつこの世界でも外道認識されてる。

ただちょっと思ったんですけど、現実世界にアビスがあったら

上昇負荷の実験、やるよね。

まあ間違いなく人間は使わないだろうけど。やるとしても動物実験が限度だろうけどね。まあでも、現代的な倫理観では動物実験止まりとしても、中世的な倫理観なら間違いなく人間突き落とすよね。いやでも現代でも何かを間違えば余裕で人間を6層に突き落として引き上げるクソ実験の可能性あると思う。人間って残酷な生き物だから。

だってさあ、そもそも探索しようにもアビス危なすぎるじゃないですか。まあ、アビスに潜る者たちが、ある種の特殊部隊とか一流アスリートみたいな扱いを受けるのも、アビスが死ぬほど危険だからって理由はありますけどね。

でも、そもそもどれだけのリスクがあるかもわからない場所に、チートアイテム装備状態とはいえ生身で飛び込んでいくのがもう正気じゃねえと思いませんか。普通はなんらかの事前に調べるでしょ。絶対。科学技術もそこそこ発展してるんだからさ、ドローンみたいなのを飛ばして事前調査する方向にシフトしない世の中が不思議ですよ私は。ロマンより人命だよ。なんで人間がリスクを冒してダイレクトにダイブするんだよ。ねえ。自動運転の重機とか作って突撃したほうがよくない?

私なら安心して通れる方法を調べます。あと、研究の末に見つかった安心して通れる方法を確立したらそれを秘匿する。国家機密にする。その地点で勝ちじゃないですかね。情報を持つものが勝つんですよ。

てかそもそも、そういうアビス独特の性質に取り憑かれて研究する科学者がいそうなもんなのに、作中には全然いなくて。出てくるのはみんな研究者じゃなくてフロンティアスピリットに満ちた冒険家気質の人間たちなので、やっぱマジで不思議だなこの世界。運動部が優遇される世界観、文化部に厳しいな。

なのでまあアビス研究者としてのボンドルドに謎の安心感があるという屈折したことになってしまいましたとさ。いやでもですね、私はそもそも人命を守るために研究しろと言っているのであって、間違っても人体実験しろとは言ってないので……。

いやまあ……、人間を実験道具扱いしてはいけない、という最低限の倫理観を一旦ゴミ箱に捨てた状態で言えば、成れ果てミーティー虐待の件も実験だもんな……、って言えなくはないかもしれないが。ほら、我々はミーティーの過程を知っているから、成れ果てになった姿を見ても同情ができるじゃないですか。でも、そんな過程を知らずにあの姿だけを見て同じ気持ちでいられますかって側面はあるよね。

なにも知らなければ、科学者が実験動物を扱うのと同じ感覚で扱えませんか。我々は虫を平気で殺すけれど、それは人間とかけ離れた姿だから躊躇わずに済むところ、あるじゃないですか。じゃあ人間とかけ離れた姿の成れ果ては?

そんなことを考えたりしたわけなんですが、

私はナナチが語った過程を知っているので、あの実験シーン普通に嫌になりました。

初めてまともな倫理観があることに対して辛さを覚えたからなこっちは。

ぶっちゃけリコの腕より、ミーティーのエレベーターのがどぎつかったですね……。あの逃げ場のない地獄みたいなやつ。なにあれ。なんなん。ほんとになに……、もうやだ……、なんなだよほんと……、いい加減にしろよ……。

だってミーティーとナナチはなんも悪くないですか。ただただ理由もなく必然性もなく、適当に選ばれたという理由だけでこの世の地獄を味わってるからさ……。呪いを押し付けられる側になったのも押し付ける側になったのもただただ偶然。我々が買い物で商品を手に取るくらいの何気ない選択で、まさしく生き地獄を味わうことになったミーティー辛すぎんか……。人間やめた時もヤバいけど、その後の仕打ちもキツすぎるでしょほんと……。マジで……。しかもナナチと書かれて暮らすようになってからもずっと泣き叫んでたのマジできつい。必然性もなく突発的に不可逆的かつ致命的な損傷を加えられる展開は最悪だよ……、ほんと……。

とか散々書いたんですけど、私は最低限のグロ耐性はあるんですよ。別件ですけどR-15の映画ですごい好きな作品とかありますし。いや単純にグロいだけっていうのが平気なんですよね。この作品で言ったらリコの腕とか。あれは本人も覚悟してた。あと作者の性癖なんだろうなと思った。いやこの話全体的に作者の強い性癖を感じた。あとで書く。まあ……、そっか……。この作者そういう性癖だからな……。

プライムビデオに二度と見ないってレビューあったんですけど、気持ちわからなくはないなと思いました。

 

そういえば、話変わるんですけどオーゼンさんめちゃくちゃ好きでした。なんかもう常人には理解できない領域に達してる感じとか、あんなんで実は優しいとか、あとライザにクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソデカ感情抱いてるところなどが好きです。

ライザが結婚した時のショックの受け方やばいし、死産したことで塞ぎ込むという当然の反応をするライザを解釈違いだなあみたいに見守ってたのが大変良かったですね。むちゃくちゃにライザ好きなくせに、全くそんなそぶりを見せもしない、圧倒的掴み所のなさ。あと身長がクッソでかい。でかいので何かする時に首取れてない?ってレベルのめちゃめちゃな猫背状態になるのもシュールで好きです。

そういえば、オーゼンさんは一見めちゃくちゃに厳しいんですけど、根本的なところは人間みがあって優しいと思うんですよね。だからこそマルルクをはじめ、地上では生きられない人間たちに居場所を与えているんでしょうし。引きこもりにも理由はあるわけで。まあ……、当のオーゼン本人が地上に全く向いてない感じはありますけど……。

ぱっと見クレイジーでも明らかにオーゼンさんすごくまともに見えてくるんですよね。オーゼンさんまとも。すごいまとも。難ありな性格といえど、この人どっかの黎明卿と違って意味わかんない理由で人殺さないから……。でもオーゼンさん、マルルクちゃんの服装とかに関しては最高にヤバいと思う。あれは本当にいけない。

対してドクズのクソ外道、いいところ声しかないことでお馴染みのボンドルドはわかりやすくずっと、とっても優しいのが最悪ですよね。ナナチのことも褒めてるし可愛がってるし。あれマジで全然褒めるタイミングじゃないし、実験手伝わなくても怒らないで可愛いとか言ってる。あれ多分皮肉とかじゃなくてひたすら本心でやってますよねこっわ。実験の手伝いもしないで絵ばかり描いて、全く可愛い子ですねはほんとこわい。(ロリショタ虐殺残虐人体)実験を手伝わない、に続く言葉が説教じゃなくて「可愛い子ですね」だからな。あらゆる面で意味わかんなすぎる。こわい。

 

さっきから成人したキャラの話しかしていないですね。ええ、そうなんですよ。なんと私、

ロリショタキャラに一ミリも興奮をしない

んですよ。あと私、基本的に理不尽に可哀想な目に遭い不可逆な傷を負うことには興奮しません。興奮しないです。イグニス失明からの流れはめちゃめちゃに興奮したし、クレイ・フォーサイトの片腕がないことにも興奮はするが!!!!してたな!!!!!!!!前言撤回!!!!!!!!いやでもミーティーとナナチのあれに興奮しないからな!?!?!?!?!!!!

…………いやまって、これがもっとサイズの大きい、例えば20代くらいのキャラだったら……?大好きな友人のためだけに殺してと叫びながらも呪いを受け続けて耐え抜くのは嫌いじゃないかもしれな……、待って…………。

ロリショタキャラに一ミリも興奮をね、しないんですよ。でもこの作者、マジでロリショタキャラにできる限り苦しくて辛い気持ちを味わってほしいと思っているんだろうなと思いました。いやまあ……、原作は読んでないんですけど……、原作通りにアニメとして描いた結果がアレならつまり作者の性癖ってことじゃん……。

ちなみに一番私がを感じたのは、治療のためにリコの腕に植えたキノコの切除シーンです。場面としてはすごい短いし、本当に短いのでこのシーン必要か……?と思う程度には短いのにねじ込んでいるし、アニアリか原作ネタかはわからないけど痛みのあまり失禁する描写があったので、これを作った人間はマジで筋金入りの変態だと思いました。自分の欲望に素直な作品は好きです。私も欲望に素直なので、年下総攻め主人公の股間を狙う年上の男どもみたいな話ばっかり生産してますし。もうだめだ。

 

 

 

性癖って、どうしようもないですね。

以上です。

あ、どうでもいいんですけど、これを書くにあたってなんとなくふらふらネットの感想を漁っていたのですが、その時にボンドルドの夢女子という可哀想以外のお言葉が見つからないほど修羅の道を行く強いオタクたちを何人も見かけたため、性癖ってほんとうにどうしようもねえなあと思いました。あとボンドルドのサイクルジャージにゲラゲラ笑ってました。あれ普通にお外で着たら人権失うタイプのグッズですよね。人権失って人間としての運用されなくなりそう。

あ、それとオーゼンさんのイラスト見てました。好きです。

 

今度こそ以上です。