人生は冒険だ

ドラクエが如く汚いドラクエなどというパワーに満ちまくったあだ名で呼ばれていた龍が如く7をクリアしたので感想です。

発売前から評判は耳にしており、スタッフがドラクエという単語をためらいなく本編中で使いたいからとわざわざ許可取ったというエピソードも聞くなどしていたのですが、とくに購入も検討せずスルーしていました。あ、あとなんか発売前のスジモンを選べと言われている画面だけは見ました。バカだなこのゲームと思って死ぬほど笑った記憶があります。怒られるぞ。

これ書きながら気になったんでその時見た記事探してきたんですけど、なんか龍が如くシリーズってバカだな〜!と思いました。褒めてます。メスキングってなんだよ。

そんな龍が如くシリーズ自体はツイッター等でも熱心にプレイするフォロワーがいたのもあって興味はそれなりにあったんですが、7作も出てるシリーズものを最初から追うのは流石にしんどいなと思っており完全にスルーしていました。が、なんかフォロワーがプレイしてて楽しそうだったのと、

主人公が明らかにホメロスの鎧着てたのがめちゃくちゃ気になって

買いました。7は主人公交代してるので単体でもストーリーわかるっぽくてそこもポイント高かったです。あ、プレイしたらホメロスの鎧がなぜ出てきたか理由もわかるかな?と思ったんですが別に何も説明はなかったです。別になかった。

ただ私の中にめちゃくちゃ重たい解釈だけが残った。私は解釈をするのが好きだ。あるかもわからない意味を探すのが好きだ。それは厳密には解釈ではありません。人はそれを深読みと呼びます。

 

 

 

 

 

さて、感想です。

すごい面白かったです。

まずはこの一言に尽きますね。キャラも立ってて魅力的だし、ストーリーもテンポよく進むのでストレスないし。戦闘については無限に言いたいことがありますがまあ……、それは後から話します。

 

とりあえずまずはキャラの話からしましょうか。

まずは主人公である春日一番ですが、彼は端的に表すなら圧倒的な光属性ってな感じのキャラでしたね。本人はラストのクライマックスシーンで自分のことを闇だと叫んでましたが、その心根の真っ直ぐさは明らかに光のそれなんですよね。だからこそ、あの最後の対比がエモいんですけど。そういえば、髪型を筆頭に顔周辺の情報量がめちゃくちゃ多いので普段はあんま思わないんですけど、よく見るとこの人すっげー顔いいですよね。刑務所時代の坊主頭してる時に思いました。

ドラクエ大好きという設定のため、マジで度々ドラクエネタをぶち込んできます。ちなみに作中でまんま「ドラクエ」という単語が出てきたのは、私が数えた限りでは10回でした。パーティーチャットや宴トーク全種類開けてないので正確性はなんともですが。パーティーチャットも宴トークもどこで何が開くかわからないから回収大変じゃないです?

そんな主人公のドラクエ好き設定のせいで中井貴一の顔をしたおやっさんハロワの所長ドラクエネタを喋るという面白いことになります。ハロワの所長はまだしも、中井貴一の顔でドラクエネタはかなり面白かったです。マジで。てかおやっさんそもそもすごい見たことある顔なのでしばらく気が散ったし、友人にこれのあらすじを説明する際にミキプルーン組長という最悪のあだ名をつけてしまって申し訳ないと思ってる。いやそれ言ったら堤真一の顔をした若頭・沢城の首から下が紫に発光しているのも最高にキてる絵面でしたけどね。堤真一といえば私は映画クライマーズ・ハイが好きです。

話が逸れました。彼のドラクエ好きは書いた通りまあ度々出てくるんですが、一番極まっていたのはやっぱり前作主人公、桐生と戦った後に失神してた時に見てた龍と戦う夢ですかね。

ドラクエ11でなんかこういう鎧着てる人見たな?

ってなりました。そうですね、ホメロスの鎧ですね。わかんない人はドラクエ11ホメロスを調べてください。まんまです。デルカダールメイル的なものを身につけている春日一番。なに?

そのあと目を覚ました時に例のレベルアップファンファーレを口ずさむという徹底っぷり。でもこのファンファーレを口ずさむのはどっちかっていうとFFがやってるんですよね。15のアーデンとか7リメのバレットとか。このゲームで明確に作品名を出してくるのはドラクエだけなんですけど、なんかFF要素ワードもちょこちょこ出してくるんですよね。確かにスクエニに許可は取ってるがFF側は許可してないのでは?というツッコミは野暮というものでしょう、ええ。いや実際FF要素ならまだいいですよ。スクエニ怒んないよ。ただ京都の方面には謝ったほうがいいと思います。スジモン。

この後散らばりまくったドラクエへのリスペクトっぷりの話はじっくりするのでこの辺で切り上げましょうか。

ともかく、見ていて気持ちがいいタイプの主人公で私は好きです。ほぇ?がかわいい。大胸筋のモデリングも好きな感じでした。それは私の趣味です。

 

次はナンバですね。元看護師、現在はホームレス、そして顔と声が安田顕情報量が多すぎる。お前のようなホームレスがいてたまるか。

ナンバはホームレスとなった春日一番にホームレスの心得を面倒だなと言いながらも説いてくれる相棒キャラ。ドラクエ11でいうところのカミュです。カミュ。最初期に仲間になる相棒キャラ。リアリストっぽい物の見方をするがその実とても熱い部分がある。カミュには妹がいるが、ナンバには弟がいる。ほら、カミュドラクエも如くも双方クソネタバレ祭り発言しました。謹んでお詫び申し上げます。

今後もこの調子でひたすらドラクエ11キャラに例えます。何故11かと言われたらまあ最新作だしホメロスの鎧だし……と言っておきます。

あ、さっきナンバの顔と声は安田顕、と言いましたが、安田顕はみんな大好きユアストーリーにプサン役で出演しているという事実を噛み締めてご覧いただくと大変味わい深くなると思うので是非よろしくお願いします。私ナンバが出てきた時にユアスト思い出してめちゃくちゃ笑ってた。流石に製作時期から考えてこの奇跡のように局地的なキャスト被りは偶然だと思いますが、なんかもうあまりにも面白いからずるいです。

ちなみにナンバは臭い息という技が使えます。そうですね、FFですね。モルボルが吐くやつです。というか俳優の顔して臭い息吐くの、普通に事務所よくこれオーケー出したなってなりました。よくこれオーケー出したな。でも巨大な電マとかアナルパールをぶん回してはくれなかったので、そこは流石にNGだったんだなと思った。まあそれ言ったらハンジュンギも趙もエロ装備ないけどね。

 

次は足立さんの話をしましょうか。元刑事で元免許センターの職員で、定年間近のところを懲戒解雇食らったおじさんです。免許センターって警察官が行くことあるんすかね。警察事務なの分野っぽいけど。まあ、そういうツッコミは野暮ですよね。パーティー内では最年長です。主人公の春日一番が42歳という設定なので、いかに年齢層高いパーティーということがお分かりいただけるかと思います。

ドラクエ11で言うとですね、悩んだんですけどロウじいちゃんかなって。最年長だし。足立さんステータスが戦士系なのでまあグレイグかな、すけべだしって感じではあるんですけど、グレイグと違ってパッケージにちゃんといるので、それなら最年長要素も加味してロウじいちゃんのほうが近いかなと。機動隊にジョブチェンジすると盾装備になるんでグレイグみあるんすけどね〜、どっかのムッツリ将軍と違ってロウじいちゃんオープンスケベだし、年齢的にもロウじいちゃんのほうが近そうだしね……。

そういえば書いてて思い出したんですけどジョブチェンジもFFですよね。ドラクエは転職だもん。ただ、毎回ハローワークに行かないとジョブチェンジできないシステムドラクエっぽかったと思います。ハロワとかいうダーマ神殿

あ、本作ではキャラとの絆が高まると絆トークが出てくるんですけど、足立さんの話はまさに絆トーク!って感じのいい話だったので安心感ありました。ナンバの話とかもいい話なんすけど、ちょっと……、辛すぎたし……。

そういえば、実はナンバより先に仲間になるんですけど、まあ序盤も序盤のほうで途中離脱しちゃうんですよね。パッケージにいるのにいなくなるキーファのオマージュか?といらぬ気を揉みましたが普通に再会したので安心しました。ドラクエ的疑心暗鬼です。

 

お次はさっちゃんの話しましょうか。

めちゃくちゃ頻繁に喧嘩が発生してるこの作品でがっつりパーティーメンバーとして戦っているので普通に強い女性です。だいたいハンドバッグとか振り回して戦ってます。ナンデコウナッタ。

そんな彼女はドラクエ11で言えばベロニカですね。女性キャラであり、すごくしっかりした女性でかつMP高めの魔法キャラあるという点がベロニカっぽい上に、双子の妹がいるので、これはもう完全に……、というわけでこうなりました。ちなみに、その双子の妹も本編中に出てきますが姉と違っておっとりした女性なので、すごい……、意図を感じる……

そんな妹への感情がめちゃくちゃ強く、先述の絆トークわりと妹の話しかしてません。そもそも彼女が実家を飛び出したのは、おっとりした妹や父とそりが合わず、理解者であった母を亡くし家に完全に居場所がなくなってしまったからで、居場所がないことに気づいてしまった原因も妹の彼氏にめちゃくちゃ条件つけたからなんですが、絆トークではやっぱりまた駄目男に付け入られてしまった妹を助けるために自身が妹のフリをし、駄目男と縁を切るという話なので、何もかもが一貫しててすごいなと思いました。

ところでこのゲーム、なんでか知らないんですけどおじさんの顔を作り込むことに命をかけているので、先述のおじさんたちは表情の付け方も顔のパーツもめっちゃ作り込まれていて生き生きしてるんですが、反面女性キャラの顔のグラでは力尽きているため……、という感じなんですよね。まあさっちゃんはまだマシなんですが。華やかな顔つきしてるもんね……。

 

次はハンジュンギの話します。

イケメンです。本編中で何度も指摘されているイケメンです。本人も自身の顔を気に入っているのですが、どこかのさっちゃんと同じく巨大感情に裏打ちされたものなので駄目。薄々そんな気がしてたんですけどこのゲーム人間に抱く感情がデカい、重い人間の見本市みたいなところある。まずそもそも春日一番がおやっさんに抱くそれも、若に抱くそれも大きかったしね……。

ちなみに、彼が自身の顔を誇るのは、それが敬愛していたボスと同じだからなんですよね。世界のどこにも居場所がなかった自分に居場所をくれた男と同じ顔をしているから。例えそれが実の父親に騙し討ちされて勝手に整形されたものだったとしても。重てえんだわ。ボス亡き後も顔も名前もボスと同じままで生きている矜持が重たいし、それを春日さんにはつい話してしまいましたねみたいなノリで語られる絆トークとは。絆ってなんだっけ。

この人、初登場から仲間になるまで、何となくずっと一貫して「興味なんてありませんよ、ええ本当に」みたいな顔しておきながら春日一番めっちゃ好きだなというオーラ出して来てて、なんだこいつこちとらお前のことなんも知らんのやぞと思ったものですが、なんとそんなハンジュンギよりも更にわけのわからないスピードでほだされて仲間になった男がいるので何もかもがどうでもよくなりました。あと、彼の現在のボスであるK POP歌ってそうなソンヒも一緒に仲間になると思ってた。ならなかった。私はパッケージを何も見ていない女。

ドラクエ11で言ったら誰なんですかね。距離感を詰めてくるスピードはシルビアちゃんって思ったんですけど、もっとヤバい人がいたので、うーん、消去法でマルティナ?

 

次、の話をします。

この人だけなんで仲間になったのかわからなかった。マジでわからなかった。ハンジュンギだけだと若い男が少ないからとりあえず仲間にしとくか!みたいなものを感じた。

普通こういうゲームって綺麗な女の人増やしてきそうなところなんですけど、ついさっきまで敵対してた大阪のおばちゃんみたいな柄のシャツ着たマフィアのボスを追加してくるのでクセが強い。あとふざけて炒飯作るのうまそうって言ったら公式で料理得意キャラだった。エビチリ作ってた。エビチリ食べたくなった。なんなの?

全然わかんないんですけど攻撃力普通に高かったのと、育て方の関係でマジで万能な男になっていたのでスタメンでした。この人いなかったら中ボスで詰んでた。なんでそんなに育成をしたかというのは後述します。

ところで、感情が重たいことに定評のある絆トークですが、やっぱりこの人も例に漏れず重かったです。本編で敵対していた上に自分を裏切り、なんなら拷問までしてきた男をそれでも仲間だと思ってるし死なせたくないと言い出す話だったので。重たいんだわ……、感情が……。

そういうわけで秒速で信頼して仲間になってくれるためドラクエ11で言ったらまあシルビアちゃんかなって……、ね……。

ちなみに私は彼が一番好きです。わけわかんなくてつい……。

 

さいごえりちゃんの話をします。

任意加入キャラと書いていないと詰むキャラと読みます。煎餅屋の社長として父親の後を継いだものの、騙されて会社倒産の危機という状態を救ってあげたため仲間になりました。いないと詰みます。大切なことなので2回言いました。

なぜってえりちゃん、育成方法とかの関係もあるのでしょうけど、私がクリアした地点での物理攻撃力が全体3位でした。武器マックスまで育てた春日一番、何もしてないのになんか強かった趙、なぜかわからないけど物理攻撃力がエグいえりちゃん。わからない人が多すぎる。我が家はここにナンバを加えたメンバーで戦ってました。ナンバはずっと火を吹いてた。

ちなみに、うちのえりちゃんは編成の関係でアイドルとして頑張ってもらってたんですけど、最終的に男のケツにデカい注射をする担当になってしまってダメでした。まあそもそも、この子の持ち技に電マで回復するという最悪を極めているやつがあるのでしょうがない。

しかもえりちゃんってナンバとかおやっさんとかカシラみたいに実在人物の顔をしているし、なんなら名前までそのまま出演しているタイプのキャラなので、本当によかったのか?と思います。

ただ……、ただ一つ問題があって、先に書いた通りこのゲームのスタッフって男の顔を作るのには頑張るんですが、何せ女の顔を作るのが…………、なので、えりちゃん……、似てなくて……、実物は美人なのに……、どうして……、ねえ……、どうして……?

ドラクエ11には任意加入キャラがいないのであれですが、パッケージにいないのに仲間になる点ではグレイグと同じですね。ただまあ、任意加入キャラなのにスタメン余裕のステータス持ちという意味で一番似ているのは6のドランゴではないかなと思いました。ドランゴ女の子だし。

 

 

戦闘の話します。

真島・冴島戦の難易度調整バカでは〜〜!?

もうこれしか言いようがない。

全体攻撃や高火力技を連発しないと雑魚も倒せないことが増えてくる後半において、全体攻撃や高火力技のMP消費量が多すぎて燃費が最悪という点は世間で散々突っ込まれてるみたいなんで私は何も言わない。焼け石に水だけど自力で回復できるようにストリートミュージシャンのキャラ専用極技取ったら少しは楽になったし。趙とか特に。

ただ、それでもストーリーを進めていれば自然に到達しているレベルで倒せる程度の敵しか出てこなかったんですよね。真島・冴島戦までは。

彼らなまじ前作キャラなので(TL受動喫煙をしていたので、前作キャラの顔と名前や東城会が前作からの引き継ぎ設定であることはなんとなく知っていた)弱くするわけにいかなかったんでしょうけど、にしたって強すぎて一週間毎日レベリングし、36から55までレベルを上げてそれでギリギリ勝てたので、もう……。勝てなさすぎて35回くらいこのゲーム諦めて売ろうかなと思った。本当に勝てなかった。ちなみにこの間にあらゆるジョブのキャラ専用極技を習得させたので、趙が恐ろしく万能で後々すごく助かりました。マジでなんでもできる。物理攻撃も全体で2番目に高い。ほんと万能。

ちなみにこいつらの後に戦うボスなんですが

沢城(今作キャラ、弱い)→桐生(前作キャラ、強い)→石尾田(今作キャラ、弱い)→天童(今作キャラ、実質ラスボス、弱い)→青木遼・荒川真斗(ラスボス、荒川真斗状態に至ってはイベント戦みたいなもんなので余裕で勝てる)

もう前作キャラってだけで強い。

真島・冴島コンビは泣きながら必死に倒しましたが、もうさすがに学んだ私は桐生の弱体を先に確認し、冷気弱体だと把握するや否や全員をホストにジョブチェンジさせアイスペールの氷をかける作戦で倒しました。絶対に桐生に凍傷を負わせたいという熱い思い。そんなことしたので桐生戦もまあまあレベリングを要しました。

だって明らかに火力が違うんですよ。天童もこの中だと強いらしいんですけど、真島・冴島コンビの火力に比べたら全然……。一撃で総HPの2/3とか持っていかなかったじゃん……。

そういえば、状態異常の継続時間は結構長いのに、バフやデバフの継続時間が超短いのも気になりました。先述の前作キャラたち、デバフかけてもこっちの行動順が一周した地点で取れてたからね。マジでふざけんな。

あ、でも青木戦からの荒川真斗戦は熱かったからよかった。都知事という肩書き、偽りの名前を背負った男とは、勇者というジョブを背負って武器を手に戦うのに、何の肩書きもない、本当の名前でぶつかってくる相手には素手で挑んで泥臭い殴り合いするの。あれはふつうにエモかった。というか若関係は全般エモかった。

 

 

そういう流れなんでこのままストーリーの話もします。

私極道モノあんまり興味なかったんですけど、ア〜〜関係性の重さと断ち切れない繋がり〜〜!!!!ってなったので、もしかすると私には合ってるのかもなと思いました。さっきから書いてますけどほんとにみんな重たいし、切れない繋がりを大切にしてるし。それらを時に否定的に受け止めることはあっても、やっぱり最後には相手の生を、幸せを願ってしまうのはもう愛、それは愛ですよ。

ストーリー上で何度も出てくるキーワードはいくつかあったんですが、その中で印象的だったのが「居場所」だったんですよね。居場所を失った人間と、居場所を自ら捨てた人間の対比とかが鮮やかだった。

そもそもメインキャラがみんな居場所を失ってて、みんなどん底にいる。そこから這い上がる物語なんですよねこれって。

殺人の罪を被って18年も刑務所にいたその間に、心から大切に思っていた荒川組という居場所を失った春日一番を筆頭に、ホームレスで文字通り居場所がないナンバ、職を失って社会的なコミュニティという居場所をなくした足立さん、自分の居場所がないことを悟って家を出たさっちゃんと、みんな見事に居場所がない。

ハンジュンギなんて、所属組織自体が母国に帰れない韓国人マフィアやその子孫たちのコミュニティですからね。自身も父親に殴られ家に居場所はなく、カタギのコミュニティにも混じれず、居場所はどこにもなかったとか言うの。そういうの好きだからよくない。趙も母国に帰れなくなった中国人たちの子孫で構成されたマフィア組織、横浜流氓のボスなので、やはり居場所がない者たちに分類されるのではないでしょうか。えりちゃんの場合は居場所というか祖父、父が大切にしていた会社を奪われており、被害総額が一番デカいという設定持ちです。失ったものがあることには変わらないので、やっぱり他キャラと共通点はありますよね。

だから意味や形は違えどみんな、どん底を知ってる側の人間なんですよね〜!!居場所がなくてどん底にたどり着いて、そこでようやく居場所を見つけたような人たち。だから例えどん底だとしても彼らにとっては大事な場所なんですよ。一方、生まれた場所、つまりどん底のグレーゾーンが自分に福音をもたらさなかったからと消そうとするのが若ね。あ〜、今思ったけど今ある世界の枠組みを消して再構築するために自身が世界の統治者になろうとするのめっちゃドラクエのラスボスムーブだな……。

そうじゃん!!!!この自分たちの世界を守ろうとする春日一番vs世界を壊そうとする若の構造めちゃくちゃ典型的なドラクエじゃん!!!!は!?!?!?

 

あ、あと成り上がり。成り上がりもテーマとしてデカいですよね。

どん底から這い上がって勇者に成り上がろうとした春日一番と、どん底を否定して血筋を捨てて成り上がろうとした若って、成り上がりを目指した点では実はそんなに変わらないんですよね。目指すものが勇者か幹事長か、その過程で人を顧み居場所を守ったか、人を顧みず居場所を守らなかったかの違いがあるだけで。根本的には実は同じっていう。

ただ、ここで言う勇者って生き様を指す言葉なんですよ。だから正直場所は問わないし、自分自身の社会的ステイタスも関係ないんですよ。生き様だから。かくあるべしと自分に定めた生き方してれば住所不定無職で元ヤクザのホームレスだって勇者になれるんですよ。成り上がりも、要はどん底で腐ってないで前向いて生きていこうってくらいの意味。だけど、幹事長はれっきとした社会的ステイタスで、ハイソサエティの文脈に身を置かなければ得られないものなんですよね。文字通りに成り上がらないと得られない肩書きなんですよ。

だからどん底に生きる人々や、どん底のグレーゾーンが彼らにとって必要であることを同じ目線で見てきた勇者の春日一番は世界を肯定するし、極道の息子という生まれや、荒川真斗という名前ごと壊そうとした魔王の若はグレーゾーンという世界を否定するんだよな。ア〜〜〜〜!!!!めっちゃエモいしこれすごいドラクエだ〜〜!!!!キャッキャ!!!!

ちなみになんですけど、ドラクエのボスキャラってわりと自分を肯定しない世界を壊そうとするやつが多いんですよ。典型的かつ若に一番近いのがマルチェロですね。他人を蹴落として権力を持つことで自分を肯定しなかった世界への復讐を果たそうとし、そして破滅を迎えるので。更にピサロも、自分たち魔族や、最愛のロザリーの種族であるエルフを受け入れない人の世を壊そうとしてますよね。ちょっとニュアンス違いますけど、ホメロスも結局自分の実力を認めてもらえない世界に絶望してああなった部分ってあるじゃないですか。みんな自分の存在が肯定されないことをきっかけに破滅してくんですよね。

そう考えると若、マジでドラクエのボスキャラ。

 

そういえば、成り上がってドラクエの勇者みたいになると言っていた時に首を傾げたんですよね。だってドラクエの勇者って成り上がらなくても大体は血筋いいじゃないですか。1はロトの勇者の子孫、2はみんな王族、3の主人公は勇者と呼ばれたオルテガの子供、4の主人公は天空人の血を引き、5の勇者はグランバニア国王である主人公の子供、11もやはり勇者の生まれ変わりで、実はユグノアの王子様。勇者じゃない8の主人公も王家の血を引いてるし、願えば誰もが勇者になれる6だって、勇者になりやすい主人公は王子だし。

ただね、話を進めていて

あーやっぱ血筋ね、なるほどね

ってなったので、ドラクエオマージュとしてとことんよくできてますよねこのゲーム。そうなんですよ、勇者っていうのは血筋なんですよこれが。どん底から成り上がって勇者になろうとした血筋のない春日一番には実は血筋があった。いかにもドラクエらしい事実の発露ですよ。

ただ、血筋をどん底だと否定してそれを捨てて成り上がろうとした若には実は本当は血筋がないという皮肉が付いてきますけど……。血筋というやつが時に福音であり、時に呪いであるところもなんかドラクエみあるよね……。さっきも出したけどマルチェロとか血筋のせいで歪んでしまったわけじゃん……。

てかそもそもとして、若が荒川真澄の息子として育っちゃったのがすっげー皮肉なんですよね。だって若、ヤクザである荒川真澄の息子として育たなかったらきっと未来が変わってたと思うんですよ。いやそもそと同じロッカーに同じ日に生まれた新生児が入れられていたのに、一人はその時の後遺症で歩けない体になり、一人は特に健康面に不安なく育ってんのがもう皮肉。歩けないことがとにかく若のコンプレックスを刺激しまくってたというのに。ただあの夜、泣き声を上げて、自分から荒川真澄に「見つけられた」のって実は若のほうなんですよね。隣のロッカーから泣き声は聞こえてなかったので。しかもあの時見つけてもらえてなければ、若は生きてなかったですよね。だから、あの夜荒川真澄と繋がったのって実は生きたいという本能だったりするの。エモいな。

 

 

そういうわけでこのゲーム、ドラクエ的な構造の使いどころがうまいんですよ。ドラクエが如くとか言われてるけど、ぱっと見はそんなドラクエ要素ってないんです。視覚的にわかりやすいものって、それこそホメロスの鎧くらいで。ハロワで転職できるけどジョブチェンジとか呼ばれてるし、ナンバは臭い息吐くのにかえんのいき吐かないし。なんで火を吐く極技を持ってるのにかえんのいきは吐かないんですか?そここそドラクエでよかっただろうが!

でも、ドラクエ知ってるとニヤッとするような要素はめちゃくちゃ盛り込んでるし、ストーリーの根幹に関わる部分にめちゃくちゃドラクエ要素を使ってるんですよね。正直今までやりたい放題してきてて、メスキングだのスジモンだの言ってるゲームがなんでわざわざ堀井雄二に許可を求めたのかって、それだけ真剣にドラクエ要素使いたかったからに他ならないんだろうなと思う程度にはドラクエに対して真剣でした。マジで。ほんとにドラクエ好きなんだなって思った。

 

じゃあどういう部分でそれを感じたのかって話なんですけど、まずはわかりやすいところで。

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かの有名な世界の半分をやろう、ですね。

世界の半分じゃなくて所得税を半分、ってところが現実世界なので笑えますね。世界とニアリーイコールの所得税

そして次はこれ。

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我が愛するドラクエ6ダーマ神殿にいる、ぴちぴちギャルになりたいおじいさんのパロディおじさんです。

ドラクエ6に出てくるダーマ神殿にいるぴちぴちギャルになりたいおじいさん、11の冒険の書の世界に採用されてるのでそっちで知ってる人もいるかもしれませんね。6ヤクザなので見た瞬間に6!!!!ってなったし、まあまあニッチなチョイスだなと思ったんですけど、そういえば11でも出てくるので11好きだなこのゲームって思いました。私も好きです。

あとスクショがすぐ出てこないんですけど川の前で行く末を案じるおじいさんもいました。5ですね。ラインハットの関所あたりにいる。

これ以外のNPCの会話も、うまく言えないんですけどすごいドラクエっぽいんですよ。コンビニATMについて教えてくれるおじいさんは「なんとお金を預けられるのじゃ!便利な世の中になったものよなあ」みたいなこと言い出すし、あたりまえおじさんは「あたりまえだがここは横浜だぞ!」と入り口のNPCみたいなことを言うし。はぐれホームレスは倒すと経験値が大量に貰えるし、ダンスしてくる敵はMPを下げてくる。さまよう〇〇もいる。〇〇キングもいる。ど、ドラクエだ〜〜!!!!さっきから思ってたけどドラクエやったことがないと絶対に気づかないようなニッチなオマージュばっかりしてんな〜〜!!!!ちなみにハンマー持ってる時の攻撃失敗モーションがおおきづちと同じなのも見どころです。ひたすらにマニアックすぎる。なんでだよ。ちなみにトロフィーに「そして伝説へ」があるので、完全にわかっていらっしゃるなという感じです。

あ、あと仲間が増えるとなんとなくそれっぽいMEが鳴ります!仲間が増えるとMEが鳴るドラクエオマージュでふふってなる!私はこのドラクエの仲間加入MEが大好きなんですよ……、本当にワクワクしちゃうんですよねこれ聞くと……。仲間が増えてどんな旅が始まるんだろう!というワクワク……、だからこれ真似してくれてすごい良かった……。

ほんとこのこのマニアックさがドラクエ好きな人間が作ったんだろうな……。ってなるからいいんですよね……、私もドラクエ好きなので……。

で、そんな私が一番感心して、かつドラクエじゃなきゃいけなかった理由を一番強く感じたのが、

前作主人公、桐生との戦いの後に、今作の主人公である春日一番が見た心象風景

なんですよ。ホメロスの鎧着て剣を手にした春日一番が龍に戦いを挑む映像なんですけどね。これ、ここほんとに感心した。

というのもこれって、要するに主人公の役目をバトンタッチしました!っていう意味合いのシーンじゃないですか。私、如くは詳しくないので、桐生がままならない理由で表舞台から姿を消したことしか知らないんですけど、そんな伝説の龍と呼ばれた男が背負った龍と、今作の主人公である春日一番が対峙する映像って要するに後はお前に任せたぞ、っていう意味だと捉えたんですよね。主人公の引き継ぎ。詳しくないので推察でしかないけれど、たぶん主人公の交代って相当に反発あったと思うんですよ。だけど、そんな背景があったからこそ桐生さんの手から春日一番の手にバトンをパスするシーンって絶対に必要だったと思うんで、この心象風景ってそういう意味だと私は捉えました。

つまりどういうことかと申しますと、要するにこれって龍から後のことは任せたと言われるシーンなんですよ。つまり、龍から課せられたミッション、要するにクエスト。

ほら、ドラゴンクエストですね?

こじつけじゃねーか!って話なんですけど、じゃあなんでこんな大事なシーンでドラクエ始まったんだよ!ってことになるので、ドラクエ使いたかったのってこういうことなんだろうなって。

あと、主人公の交代という大きな転機を迎えた作品であえてドラクエをわざわざ使いまくったのは、龍と勇者という構図を使いたかったからなんだろうなというのもこれ見て思いました。春日一番のRPG好きって、別にドラクエじゃなくていいと思うんですよ。だって別にFFでよくないですか?勇者じゃなくて光の戦士になりたがったって別に悪くない。だけどこのシリーズって龍の存在感が物凄く大きいじゃないですか。タイトルにも含まれてますし、桐生という伝説になった極道が龍と呼ばれている以上、それをなかったことにはできない。新しい主人公を新たな龍として上書きすることもできない。そうした時にこの龍と勇者の構図を比喩のために選んでいるのがすっげー秀逸なんですよ。ドラクエにおける竜は、時に敵対し時に協力者となる偉大な存在で、まさに春日一番にとっての桐生の立ち位置にぴったりなんですよ。実際、一度は拳を交えて戦うじゃないですか。だけどその戦いを終えた後、桐生は春日一番のことを認めるんですよ。まさに「時に敵対し時に協力者となる偉大な存在」ですよ。マジで。これ以上ないくらいうまくハマってる。そうなると目を覚ました春日一番がレベルアップファンファーレを口ずさむのもニクいんですよね。一歩先のステージに進んだ、すなわち龍に認められるレベルに成長したってことがたったこれだけで伝わってくるんですもん。ニクいな〜!

いちいち王道RPGって言わせるよりはドラクエって固有名詞を出した方がわかりやすいから、ということでわざわざ許可まで取ったみたいですけど、許可取ったからには本気でドラクエという作品と、作品の持つ構図を理解して取り込んでるのでものすごくリスペクトを感じました。好きです。

 

 

長くなったのでそろそろ切り上げたいのですが、最後にどうしてもやりたい話をします。

春日一番、俺が闇だと叫ぶシーンがあるじゃないですか。どこからどう見ても光属性の春日一番が、自分を闇だと断言するあのシーン。彼にとって荒川真斗は光であり、自分自身は闇だと言い切るんですよ。ところで、ホメロスってお前は俺の光って言われるじゃないですか。若と同じなんですよ。どこからどう見ても闇属性の男なのに、お前の存在は自分にとって光だったと言われて、そして死ぬんですよホメロスって。

春日一番にホメロスの鎧着せたスタッフ、マジであまりにもドラクエの解像度が高くない?

 

以上です。