セーラー服を脱がさないで

キルラキルを見始めたら、母親から

あんたこれ着てたよね

と大変な誤解を生みそうなことを言われました、母校の制服が水色のセーラー服だったタイプのオタクです。こんばんは。作中では無星生徒の制服として出てくる水色セーラー服ですが、リアルJKだった私もまず間違いなく星など付かない人生を送っていたので、なんだか大変しょっぱい気持ちになりました。ちなみにクソほどどうでもいいですが、中学生の頃の制服は黒地に赤いラインと赤いリボンのセーラー服だったので、なんと私物を改造するだけでコスプレができます。やらんけど。

お察しかとは思いますがこれから書くのはキルラキルの感想です。見た理由は察してください。結局7回目で最寄り映画館の上映終了を迎えました。

つべこべ言わずに本題に入りましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

み〜〜〜〜んな全裸!

みんな全裸ですよ、裸一貫で勝負ですよ。服は確かに自分を装うものではあるけれど、それに頼りきるのではなく、自分自身をちゃんと持たなきゃ服に着られるだけなんですよね。どこかしら服に着られている部分を持っていたみんなが身にまとったしがらみを全て脱ぎ捨てるから全裸なんですよね、ふざけてるけどそういうことなんですよね。このアニメ、多分そういうことなんだと思う。

おら!!!!開幕からふざけずちゃんと真面目な方向性に着地させたぞ!!!!

ちなみにかく言う私は服は鎧、身を固めねば死みたいなこと言って某ライブでガッチガチのロリィタ姿を披露した過去があります。死なせてくれ。お前が一番身にまとったもの脱ぎ捨てたほうがいいよ。

 

と、いきなりオチから始めちゃったんですけど、着るという行為を自分の本質を装うことのメタファーとして描いているのかなあと思ったのでこういう形になりました。人は誰しも自分を隠したいとか、自分を守りたいとかそういう感情があるけれど、そういうものぜーんぶ脱ぎ捨てて挑んだほうがいいことって世の中にはありますもんね。そういうようなことを考えるな!感じろ!のテンションでぶち込んできてなるほどなと思いました。同じ監督と脚本のコンビだけありますね。

などと真面目ぶって続けようとしていますが、さっきからセクハラ装備の初代プリキュアとか今石中島コンビのスケバン刑事とかそういう言葉が頭の中をぐるぐるしているからダメです。どっちかっていうとそういう感想ばっかり吐き出したいからダメ。というわけで素直に全裸になります。そういえば、序盤は女の子の裸体が惜しげもなく晒されるアニメだったのに、なんか気づいたら裸のレアリティゼロになってて笑いました。画面に男のほぼ全裸しか写ってなかった時マジでほんとになにかの間違いかと思った。

 

というわけでまずね、私が語りたいのがね、まずね

四天王のツラと声

ですよ。まあね、見た理由が理由だからそうなっちゃうよね。

プ3回付き合わせた友達がキルラキルを見ていたので、四天王の声と同じキャラがいた!見た目も寄せてる!という感想は聞いていたんですが、まさか顔見ただけで喋らなくても声がわかるとは思いませんでした。そうだね犬牟田、君のことだよ。なんだその緑みの青髪と眼鏡は、誰に許可とってそんなオタクの性癖にクるビジュアルしてるんですか!!!!ねえ私のプ初見の感想知ってる!?!?レミーの顔がいい!!!!だよっ!!!!そんなレミー、じゃねえや犬牟田、実質全裸パラダイスの中唯一まともに服を着ているように見えるので安心感がありました。安心感があった。あと四天王は彼の頭脳頼りな脳筋ってところあってめちゃくちゃ可愛かったです。

更に蟇郡!君だけ極制服がセクハラなのどうにかしてください!!!!あと君だけ一撃で名前が変換できません!!!!どうにかしてくれ!!!!それとマコのことが好きなのが大変可愛かった、可愛くなかったですか?満艦飾!って何かにつけて心配してたり、何かにつけて気にかけててめっちゃ可愛かった。早く幸せになってほしい。実年齢二十歳だけど。

次!!!!蛇崩乃音!!!!かわいいっ!!!!ピンク髪でちっさくて口を開けば皮肉みたいなキャラ(ex飴村乱数)好きに決まってんじゃん。クソクソクソビッチって叫ぶのめちゃくちゃ最高じゃん。かわいい、すき。唯一皐月様のことを「皐月ちゃん」と呼ぶところもたまらないんですよね……、たまんなくないですか……、四天王は鬼龍院皐月に仕える存在で、彼女にとってもそれは例外じゃないけど、だけど一方でただの「皐月ちゃん」として見てるっていうの……、よくないですか……。皐月様は皐月様で乃音呼びするし……。

最後!!!!猿投山!!!!ジャージ姿が一番可愛かった!!!!!!!!胸に「さなげやま」って書いてて可愛かった!!!!あと見た目の方向性はそうだろうな、そうだろうよって感じだったし、極制服のゴツさもなるほどなって感じだった。こう……、なんていうかさ……、繊維の代わりに炎……、炎生命体、うん、炎生命体が宇宙からやってきてさ……、それに共振したらこう、きっとゴツい装甲姿になるんじゃないかな……。あとぶっちゃけ目隠してるほうが好きなんでずっとそのままでいてください。だってなんかもうあの覚悟も込みでヤバくないですか。

ちなみに私はマコが好きです。四天王だと思ったろ?マコでした〜〜!いや四天王も好きですけど。蛇崩乃音可愛すぎて大好きですけど。

頭は足りない行動は無謀、時に足を引っ張ってるんじゃ?ってこともあるマコ。だけど流子を誰よりも信じて信じて信じていて、誰よりも裸の流子を見つめている明るく朗らかな情熱がとても良かったです。息が詰まりそうな展開でも雰囲気をぶっ壊して明るく前向きにしてくれるいい存在だったと思います。番長極制服で艦船を守ろうと奮闘するところとか凄くグっときました。そういえばマコの名字満艦飾は祝いの印に軍艦に立てる旗のことだそうです。マコが流子のためだけに甲板に立って向かいくる服たちを倒そうとしていたことを思うと、これほどまでにぴったりな名字そうないんじゃないかなと思います。

そんな満艦飾一家ですが、あの一家のなんだかよくわからないものを刻んでぶち込んだコロッケが本作のキーワードというか、本作における流子や皐月の出した答えに繋がるのはめちゃくちゃ良かったですね。辛い時も苦しい時も、ここぞという時も、そして幸せで楽しいあの時も。いつも食卓に、弁当に、あのよくわからないもので出来たコロッケがある。原材料のはっきりした高級食材を囲む食卓は、むしろ逆にひんやり冷え切って寂しいんですよね。よくわからないからこそ幸せであったかい。そういう描写を挟んでからの「よくわからない」を貫き通す流れ凄く好き。

生命繊維の寄生活動により世界を一枚の布にする、すなわち均一化してしまおうという宇宙規模の野望に対しての反駁になるのがなんだかよくわからないことという極めて身近にあった概念っていう規模の対比がね、いいんですよ。大事なことはいつも身近なことに潜んでいて、手近なところに落ちているんですよね。我々が気づかないだけで。

四天王の忠誠も、マコの友情と信頼も、全部よくわからないで包み込んでしまう懐の広さも大好きです。愛情も友情も畏怖も執念も、ぜーんぶ丸ごと包んで、その存在を認めることすなわち多様性を肯定することって、言葉にすると簡単なんですけど実際やろうとすると凄い包容力が必要で。そういう懐の広さ、深さを流子に教えたのは間違いなく満艦飾家だったんだろうなと思います。

 

好きなキャラといえば鮮血めっちゃ好きです。マコとはまた別のアプローチでずっと流子のことを支え続けていた理解者なのがとても良かったです。最後のセーラー服は卒業だのセリフめちゃくちゃ泣きました。言われてみれば確かにセーラー服というのはやがて袖を通さなくなるものの象徴でもあるんですよね。そのセーラー服の姿をした鮮血と別れることになるのはある意味必然だったわけで。でも、最初っから別れを運命付けられていたとしても、そのセーラー服に袖を通してきた日々の思い出は消えなくて。そういう思い出を胸に、人は卒業しお洒落な服を目一杯着て大人になっていくんですよね。年取ったせいかこういう一瞬のきらめきみたいなものにめちゃくちゃ弱くなったし、めちゃくちゃ焦がれるようになりました。

まあ私の場合はそういう青春のキラキラした楽しくて仕方ない思い出みたいなもの一欠片もないんですけどね……。ひたすら嫌な思い出しかねえんだ……。

あと、そんなシーンで流れたのがごめんね、いいコじゃいられない。だったのエモくて死にました。ティーンの抱く暴れるような感情をルールという枠に押し込められた時の息苦しさ、ルールを破って自分の形を模索する開放感とほんの少しの後ろめたさ、そんな日々に抱くどことなく切ない感情、そういうものが詰まってる曲をあそこで流されて泣かないわけがない。泣いた。

 

そろそろハレンチプリキュアの話でもしようと思うんですけど、ここからただひたすら持論を展開してキモオタしてるだけなので読み飛ばしていいです。

まず鮮血が黒で純潔が白じゃないですか、だから流子と皐月はずっとこの白と黒の枠組みにいて。で、この白黒ってよく対比に使われるカラーで、イメージ的には黒が悪で白が善を表していることが多い色なんですよ。なんですけど、中島かずき脚本においては黒は必ずしも悪ではないし、逆に白こそが最もややこしい色なんじゃないかなって思ったんですよね。実際この作品でも黒が悪ではなかったじゃないですか。ついさっきこそ鮮血のことを書いたけれど、彼はその成り立ちはともかく性格面では紛うことなき善性側にいるんですよね。他方、白の純潔はといえば、序盤は皐月が袖を通し、絶対的な敵性として君臨してました。一方流子が袖を通したのは、ちょうど彼女自身が自分の出自でブレている時で、やはり敵として立ちふさがりました。だけど最後にはやっぱり皐月が袖を通し、善なるものの側で戦った。こう書いてもわかる通り、黒って単純なんですけど、白はいつもややこしくて。

他作品で言うと蛮幽鬼飛頭蛮とサジが見事にこの白黒枠組みにいるんですよね。裏切りを許さず自分を捨てた世界に復讐するためだけにことを進め続けたサジが黒、同じく復讐の道を歩むも過去と今にぶつかり揉まれ葛藤し最後の最後でようやく自分の立ち位置を定めた飛頭蛮が白。もうね、白は本当にややこしいんですよ。

もっとややこしい例を出します。プロメアのガロとクレイ。大体半裸のガロですが、彼が上半身に服を身につける時の色は黒、一方クレイは最後まで白を身にまとっている。クレイのややこしさは散々ブログに書いたのでそっち読んでもらえればと思うんですけど、まあそれにしたってあの男は拗れてこんがらがってます。

ほらね。黒はいつも一本筋が通っているんです。それが正しいとか間違っているとかはともかくとして、黒はとにかくブレない。だけど白はそうはいかなくて。葛藤し、悩み、苦しみ、頭を抱えて困惑しながら、自分を揺さぶられてもそれでも歩みを止められない色なんですよね。

意図してそういう描写になってるのかはわからんのですが、この白と黒の対比構造めっちゃ好きです。

今作における白黒のビジュアルのことを便宜上18禁プリキュアみたいな言い回しで表現しているだけであって、語りたいことの中身は極めて拗らせているところがミソです。あとさっきから地味に呼び方が安定しねえ。でもさあ……、だってさあ……、あの服流石にヤバいでしょ……、ヤバいよ……。ヌーディストビーチの道頓堀ロボも大概ですけどあれはギャグじゃないですか。こっちはマジもんの変態衣装だからね?変態衣装だよ!まあ後半そんなこと気にならなくなったし、むしろはちゃめちゃかっこいいなって思ったけど。

 

白黒で対比になってますけど、それ以外の部分でも皐月と流子は対比構造で出来てますよね。感情に飲み込まれやすい流子と常に沈着冷静な皐月。二人の属性って見事に真逆の方向を向いてるんですよね。

そういえばなんかうまく言えないんですけど、流子はラッキースケベの文脈にいるじゃないですか。風呂覗かれたり、あのヤバいコスチュームが超際どい感じで投げそうになったり。何故かことエッチなシーンで顕著なんですけど、彼女って全体的に周囲から踏み込まれにくいところがあるんですよね。意外と。周囲から踏み込まれにくいことはすなわち他者を拒絶するということでもあると思うんです。実際、鮮血の声に耳を貸さず暴走したり、鮮血を拒んで純潔縫い付けられたりしてますし。あの性格は一見すると隙だらけに見えて、肝心なところは曝け出さないっていう部分あるんですよね。

一方皐月は、他者に心を許さず己の力のみを信じて邁進するタイプでありながらも、他者に踏み込ませるところがあって。例えば実の母親から胸を触れられ股間を弄られスパンキングされ……、といった具合に、エッチなシーンがわりと全部他者からの接触によって起こされてる部分があるんですよね。他人に纏わない自分を触れさせることを受け入れてる。実際、皐月には腹心の部下である四天王という存在がいたり、ずっと付き従ってくれた執事がいたり、マコと鮮血しかいない流子と違って他者との関わりがかなり強く、そして深いタイプなんですよ。それは彼女が人に肝心な部分を見せることを躊躇わないからなのかなあと思ったり。

実際、恥ずかしいからと鮮血を着ることに抵抗を見せていた(まあ至極ごもっともな感情だとは思いますけど)流子に対し、皐月は純潔を身に纏って一言「露出狂?くだらん」ですからね。裸の自分、装わないありのままの自分を見せることに躊躇いのない皐月と、ありのままの自分、つまり生命繊維を体に宿した自分を受け入れられず戸惑い嘆き自分の殻に閉じこもる流子。本当に真逆。

あ、それで思い出したんですけど、恥じらう流子、恥じらわない皐月に対してマコは自分から脱いで見せたがっていたのでそういうところも性格の違いが現れてますよねえ。マコはいつでも自分を開け放ってる子なんだよなあ……。

 

 

なんだかとりとめもなくつらつらと書いてきましたが、作画からプロメアの気配を感じ取ったり、四天王で一人だけハブられてると言われていた意味がわかったりして当初の目的意識も十二分に満たされました。加えて最終回3〜4回あったでしょ?みたいな勢いのいい盛り上がりに殴られるパワフルなストーリーにもとても満足です。面白かった!

めちゃくちゃ性癖!というキャラはいなかったんですけど、満遍なく全員が突き刺さったようなイメージです。とても良かった。

とりあえず私は自分の制服を愛そうと思いました。

 

 

以上です。